


所得税は1年間の所得に応じて国に納める税金だ。サラリーマンの場合、給与やボーナスからそのつど源泉徴収され、会社が本人に代わって納税している。この税率が今年から改正されたため、天引きされる金額も変わっている。試しに、昨年末と今年の給与明細を取り出し、比べてみるといいだろう。今年から定率減税がなくなるので、本来なら所得税も増えて当然だが、逆に昨年より減った人がほとんどだ。税率改正の影響は、定率減税の廃止より大きいといえるかもしれない。
どうして税率が改正されたかといえば、国から地方へ税源を移譲したことによる。つまり先に住民税を改正し、今までと合計の税負担が変わらないようにするため、所得税も改正したというわけだ。
![[イラスト]給与明細のチェック](images/p2_zu01.gif)
給与明細がいつもと同じだろうと思っていたら大間違い。毎月来るものでもチェックする習慣をつけよう。

税率がどう変わったかを説明する前に、税金についての基本をおさらいしておこう。もともと税金は収入すべてにかかるわけではない。会社員やパートなどの給与収入からは、自営業の必要経費に相当する「給与所得控除」というものが差し引ける。さらに、誰にでもある基礎控除や社会保険料、当てはまる人のみの配偶者控除、扶養控除といった所得控除を差し引いて、残った分が課税所得になる。税額はこの課税所得に応じて、いくらまでは税率○%、それを超えたらいくらまでは○%と、何段階かに分けて計算する。
ポイントはこの累進課税という仕組みにある。昨年までの税率でいえば、課税所得が330万円を超えると20%になるが、330万円すべてに20%の税金がかかるわけではない。かりに課税所得が400万円なら、330万円までは10%、330万円を超えた70万円だけ20%の税率で計算するという仕組み(所得税の速算表なら、これが一度で計算できる)。こうして計算された所得税額から、住宅ローン控除などの税額控除があれば差し引いて、ようやく納税額が決まる。そのため同じ給与収入でも、扶養家族が多いなど、当てはまる所得控除の額が多い人ほど課税所得は低くなり、税額も少なくなる。
![[グラフ]所得税の計算方法](images/p2_zu02.gif)
複雑な計算方法を取る所得税。まず、自分がどの控除をいくら受けているのか知るところから始めよう。

給与から天引きされる所得税は、あらかじめ扶養家族の人数などに合わせて考えられた源泉徴収税額表に基づいて引かれている。昨年までの税率は10〜37%の4段階だったが、住民税の改正に伴い、今年から5〜40%の6段階に変わっている。最低税率が10%から5%に引き下げられたことで、昨年と同程度の収入の人でも、上のような累進課税によって税額は減少するケースが増えたのだ。
たとえば、専業主婦の妻と子ども2人の会社員の場合、表のように月給が30万円なら、天引きされる所得税は2170円。昨年までは同じ月給なら3910円だから、約45%もダウンした。扶養家族のいないシングルや共働きの会社員はもともと引かれる所得税も多いが、昨年との比較でいえば、減少率は同程度になる。これで手取り額が増えたと喜んでばかりはいられない。6月から引かれる住民税が問題なのだ。
![[表]毎月の給与から引かれる所得税(1月〜12月)](images/p2_zu03.gif)
所得税改正前と改正後のモデルケース